【代官山建築スケッチ】元倉眞琴(東京芸術大学名誉教授)

掲載日:2017年11月18日
連載企画【代官山建築スケッチ】

著者:NPO法人代官山ステキ総合研究所 副理事 元倉眞琴(東京芸術大学名誉教授)

【No.001 旧朝倉家住宅と庭園】

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- 代官山建築エッセイ No.1 旧朝倉家住宅と庭園 -


 旧山手通り、ヒルサイドテラスの裏に旧朝倉家住宅はある。駐車場の垣根越しに見える少し湾曲した大きな甍の屋根がそれだ。モダンな建築と古い建築を樹々の緑が取り持つという、代官山らしい風景である。ヒルサイドテラスと旧朝倉家住宅、それにデンマーク大使館は元々朝倉家の一体の敷地だった。朝倉家はここで米を扱う豪商であった。

 この住宅と庭園は大正8年に、当時東京府議会議長を勤めていた3代前の朝倉虎治郎によってつくられた。朝倉家住宅を見るとき、いわゆる家族のための住まいのほかに、商家として、そして公職として人と対応する3つの部門を併せ持った住宅として捉えると理解しやすい。別棟のコンクリート造の蔵や、T型フォードが収まっていた車庫もこの性格を表している。


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【No.002 デンマーク大使館】

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- 代官山建築エッセイ No.2 デンマーク大使館 -


 旧山手通り、ヒルサイドテラスD棟の隣にデンマーク大使館がある。このお隣同士はとてもしっくりいっている。それもそのはず、設計者はヒルサイドテラスと同じ槇文彦氏である。元々一体の土地でD、E棟の建設に際して売却されたものだが、「槇氏に設計をさせること」という条件をつけて買い手を探したという。デンマークが大使館用地として取得し、槇総合計画事務所が設計をした。なんと素晴らしい話。

 1979年に完成、手前が大使館で中庭の奥に大使公邸がある。大使館のファサードは3階建て。D棟に高さをきっちり合わせてある。真直ぐの壁とゆるくカーブした壁で構成されている。曲面を美しく見せるように窓はプロフィリットガラスが使われている。空や周辺の樹々が微妙に映し出されているのに気づく。外壁はややくすんだサーモンピンクのタイル。良く見るとタイルは縞状の凹凸がある。繊細である。


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【No.003 エジプト大使館】

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- 代官山建築エッセイ No.3 エジプト大使館 -


 デンマーク大使館を少し西郷山公園の方に向かって歩くとエジプト大使館がある。正式にはエジプト・アラブ共和国連合大使館という。1987年につくられた。旧山手通りからは2階建ての厳格なシンメトリーのファサードだが、あまり大きくないスケールのせいか、大げさに構えているという感じがない。

 この敷地は目黒川に向かって下る急斜面の土地で、大使館は高低差10mの斜面に建てられている。旧山手通りに面して、1階部分にピロティと公式エントランスとレセプションホールがとられ、その上に住宅(大使公邸)が乗っているが、実は4階と5階にあたる。その下に駐車場を含めて、4層分の建築が、半分地中に埋まりながら構成されている。  大使館の先の旧坂道を左に下るとその全容が分かる。※ 正面とは全くデザインのおもむきが違う。湾曲した壁、3層分の丸柱、段上のテラスと4層分を真直ぐ下る階段などかなり気合いの入ったデザインだ。


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【No.004 東京恩寵教会】

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- 代官山建築エッセイ No.4 東京恩寵教会 -


「全ての人や物事は6つのステップで繋がっていて、知り合いを6人介すると世界中の人々と間接的な知り合いになることが出来る」という「六次の隔たり」理論ではないが、思いがけず知っている人が次々と繋がってくることがある。今回取り上げた「東京恩寵教会」にはそんな縁がある。

 私は恵比寿駅から駒沢通りを歩いて事務所に行く。通りはペンシルビルが建ち並ぶ街並で、その気ままな集まりも嫌いではないが、見慣れてくると均質で退屈なものに思えてくる。※1そんなビル群の中にあって「東京恩寵教会」は、建物の低さ、要塞のようなコンクリート打放しの重量感、切妻状にカットされた頂部の形とアルミのルーバーの屋根、そこから突き出た十字架など、異彩を放っている。


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【No.005 代官山駅】

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- 代官山建築エッセイ No.5 代官山駅 -


 今の代官山駅舎は1989年に新しくされたものである。最初の駅舎は同潤会(同潤会代官山アパートメント)※1の方に向いて坂の途中に出入口があった。その後に今の方向に移された。その古い駅舎のことは良く覚えている。コンクリートブロックに木のサッシ、低いフラットな鉄骨の屋根という簡素なものだった。それでも同潤会の古い擁壁や木々,そして鄙びた家や道と良く合っていた。

 印象的だったのは通りと駅に挟まれるようにあった「森永ベーカリー」だ。朝、代官山の駅を降りると焼けたてのパンの匂いがした。今でも記憶の奥底にまだあって、時々ホームに降り立つとパンの匂いがしてくるような気がする。今回、東横線渋谷駅地下化に伴うホームの延長と踏切の廃止という大変革行なわれたが、実は30年ほど前1986〜89年にかけて代官山駅存続に関わる大きな「事件」があった。


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【No.006 代官山歩道橋】

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- 代官山建築エッセイ No.6 代官山歩道橋 -


 今回は建築ではないが、歩道橋について取り上げる。猿楽町歩道橋と聞いてもピンと来る人は少ないだろう。代官山の歩道橋、代官山交番の歩道橋と呼んだ方が分かり易い。
この歩道橋は人気のデュオ「ゆず」の「代官山リフレイン」冒頭に歌われている、
  「代官山の歩道橋の上から 眺めているのは
   変わらぬままのオレンジの夕陽 街を染めていく.........」※1
の歩道橋である。歌は古着屋(多分、ハリウッドランチマーケット)から公園(多分、西郷山公園)へと続く。「ゆず」ファンにとってはこの歩道橋は「聖地」なのだろう。よくここの上で写真を撮っているのは、景色が良いということだけではなかったのだ。


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