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学問の異種格闘技!? 代官山大学

  • 2014年07月15日
代官山ホームページ

今年3月に開催された代官山大学では、私のゼミの2年生も「代官山の店舗の入れ替わりを規定する要因についての調査」を発表させていただいた。その帰り道、ゼミ生の一人が「あれってアリなんですか?」と勢い込んで尋ねてきた。「あれ」というのは他大学の学生さんが発表したキャッスルストリートの開発企画や地区設計案のことで、質問のカタチをとってはいるものの、「ありえん!」という答えが返ってくることを疑っていない様子である。期待に満ちたまなざしの学生に向かって、私は慈愛に満ちた表情で答えた。「よその世界ではありなのよ」と。

最後の部分はやや潤色しているが、質問は本当である。そして、この気づきこそが代官山大学の最大の収穫だったのではないかと思うのである。

私のゼミでは意見を述べる際、常日頃から「なんでそう言えるの?」「根拠は?」と、しつこく繰り返し問われる。実証的などというと口幅ったいが、さまざまなデータに立脚して論じるのが経済学部的な思考である。言い換えれば、自分の考えの妥当性を何らかのデータによって証明しなければならないのである(使用するデータの妥当性はピンキリだし、証明する作業自体もずさんなことが多いとはいえ・・・)。

一方、開発企画や地区設計の分野においても現地の状況の正確な把握は不可欠であり、詳細なフィールドサーベイが行われる。そして収集されたデータや知見に基づいて企画・設計コンセプトが練られ、肉付けされて企画案・設計案ができあがる。

こうしてみると、やっている作業の手順自体はそれほど変わらないものの、結論の導き方に違いがあるように思う。経済学部的な思考では、データから直接、読み取れることと、読み取ったことから論理的に説明することが求められる。したがって、データと結論の間に論理的な飛躍があることは問題だとされる。これに対して開発企画や地区設計の分野では、データに依拠しつつも、そこからいかに魅力的な提案に飛躍させられるかが重要なのではないか。つまり、データから結論を導く際の飛躍のさせ方、膨らませ方に違いがあるように思われる。

ところで、本学には5つの学部があり、いずれの学部も一部を除いてほとんどの科目を他学部の学生にもオープンにしている。そのため、経済学部の学生も他学部の科目をたくさん履修している。だが、学部学生向けの講義科目では、「理論」や「学説」は語られても、それがどのように導き出されたのか、研究方法まで語られることは少ないだろう。研究方法を学び、実践する場としてゼミや演習があるが、これらの科目は他学部生にはクローズドであることが多い。また、最近は異なるゼミの間でのゼミ交流会なども盛んにおこなわれるようになったが、多くの場合は同じ大学の学部内や、他大学であっても似たような学部の間で行われることが多い。つまり、それぞれの学問分野の思考方法や研究方法を知る機会は案外と少ないのである。

こう考えると、さまざまな学問分野のゼミが代官山という同じフィールドを共有しつつ、それぞれの視点から調査し発表するという代官山大学は、いわば学問的な「異業種交流」、「異種格闘技」といえるだろう。こうした交流が学生はもちろん、教員にとっても刺激になることはいうまでもない。実際、ゼミ生たちは「もっとプレゼン工夫しなきゃ」「自分たちにはPCのスキルではかなわないから、もっと中身を面白くしなきゃ」と来年に向けてはりきっている。私自身も「まずは足で稼げ」といいつつも、「もうちょっとおもしろい話にしようよ」と、多少は「飛躍」できるようにもくろんでいる。

来年も代官山大学2015が3月に開催予定である。より多くの大学・研究室に参加していただけたら何よりである。

【関連リンク】第10回フォーラム「代官山大学2014」

(國學院大學経済学部 教授 田原裕子)

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